ハイレゾ版、MQA-CD版、MQA配信版
それぞれの制作プロセスについて
【各作品のマスターファイルの形式】
192kHz/32bit-float (Tr.1-5,7-9,13)
768kHz/32bit-integer (Tr.6) DSD5.6MHz(Tr.10-12)
※マスタリング工程に回す段階で、
Tr.6は192kHz/32bit-floatに変換し、ノイズ除去と音質調整を実施
Tr.10は、192kHz/32bit-floatに変換し、PCM版独自のマスタリングを実施
Tr.11-12は、各トラック(全6ch)を192kHz/32bit-floatに変換し、PCM版独自のリミックスを実施
以上の作業を行って、全ての楽曲を192kHz/32bit-floatファイルとしてマスタリングエンジニアにお渡ししています。
【マスタリング後のファイル】
■バージョン1 ハイレゾDL用
192kHz/24bit WAV
■バージョン2 MQA-CD用
176.4kHz/24bit WAV
※バージョン2は、出来上がったバージョン1のファイルをレート変換するのでは無く、
マスタリング書き出しの段階で各種調整を行いながら最良の結果になるよう176.4kHz/24bitファイルを作成しています。
《ハイレゾ版の制作プロセス》
「バージョン1 ハイレゾDL用」のファイルを使って各サイトに納品
OTOTOY
groovers
⇒WAVファイルをそのまま納品
DLsite.com
⇒Beagle Kickで制作したFLACファイルをそのまま納品
他サイト
⇒WAVファイルを納品
各サイトでFLAC版などを作成、ないしDL時に自動生成
《MQA-CD版の制作プロセス》
「バージョン2 MQA-CD用」のファイル(176.4kHz/24bit WAV)をMQA社に提出
MQA本国(イギリス)にてMQAエンコードを実施
⇒ 44.1kHz/16bit WAV ⇒ DDP作成 ⇒ CDプレス業者へ納品 ⇒ MQA-CD
※エンコード後の44.1kHz/16bit WAVには、ファイルがMQAであることを示すメタデーターが埋め込まれており、CDになってもこのメタデーターは残ります。
MQAデコーダーにデジタル入力するとMQAデコードが行われます。デコード後は、176.4kHz/24bitとして再生出来ますが、データー上はロスレスではありません。
データー上ロッシーではあるものの、MQAエンコードによって時間軸上の解像度が向上しているため、その音はスタジオマスター品質に近いと言われています。
また、デコードできない普通のCDプレイヤー等で聞いても、時間軸上の解像度向上の効果は一定程度味わうことが出来ます。
詳細は、橋爪徹が執筆したこちらやこちらの記事をご覧下さい。
《MQA配信版の制作プロセス》
「バージョン1 ハイレゾDL用」のファイル(192kHz/24bit WAV)をMQA社に提出
MQA本国(イギリス)にてMQAエンコードを実施
⇒ 48kHz/24bit FLAC ⇒ e-onkyo musicへ納品 ⇒ 配信時にタグやジャケット画像が付加されてDLされる
※48kHz/24bit FLACのデータには、ファイルがMQAであることを示すメタデーターが埋め込まれており、対応のデコーダーで再生するとMQAデコードが行われます。
デコード後は、192kHz/24bitとして再生出来ますが、データー上はロスレスではありません。
MQAはカプセル化(1回目の折り畳み)とロスレス圧縮(2回目の折り畳み)の二つを組み合わせて、192kHz/24bitのWAVファイルを48kHz/24bit FLACのファイルに「折り紙」しています。
MQA-CDは既存のCD規格からハイレゾを取り出せることが画期的ですが、よりベストなMQAの音を楽しむなら配信版を聞いていただくことをお勧めします。
具体的には、MQA-CDの場合、ノイズフロアが配信版より若干上がり(録音上のノイズフロアよりは低い)、音楽情報は30~35kHzくらいまでオリジナルと同じ周波数特性を再現できるそうです。
詳しくはこちら(英文)
※契約面はクリムゾンテクノロジーというアグリゲーターを通しています。
通常のフローはアグリゲーターに納品したWAVをe-onkyoが受け取って、MQAエンコードの手配を行う流れになります。
今回は、橋爪がMQAと深い関わりがあったため、直接日本のMQA社経由でエンコードを依頼できました。あくまで特例です。